30代未経験でWebマーケティングに挑戦【転職経験から語る】

そんな疑問に答える記事です。

こんにちは、おるんです。

私は今、フリーランスWebマーケターとして働いています。主にSEO記事のディレクションやサイト内のCVR改善の仕事に携わっています。まだフリーランスとしては駆け出しなのですが、とりあえず会社員時代の年収くらいは稼げる見込みが立っています。

さて、そんな私ですが、Webマーケティングの世界に本格的に飛び込んだのは30歳を過ぎてからです。それまでは別の業界で営業系の仕事をしてきました。

結論、30代からWebマーケターを目指すのは不可能ではありません。ですが厳しい道のりであることも確かです。私自身、手探りでスキルを身につけて、なんとかここまでたどり着きました。その甲斐あって、現在はストレスなく仕事をできています。20代で持っていた「なんの取り柄もない」という悩みも解消されました。

この記事では、30代からWebマーケティング職を目指した私の体験をもとに、Webマーケターになる方法を解説します。

未経験からWebマーケターを目指す方のためのWebマーケティングの勉強方法は別記事で書いていますので、よければこちらもご覧ください。

Webマーケターとは

Webマーケティングの専門家をWebマーケターと呼びます。

Webマーケティングとは、簡単に言うとWebを使って商品を売ることを言います。広告運用やSNSなどによる集客、SEOやコンテンツ制作など、業務範囲は非常に広いです。

Webマーケターは、Webマーケティングの効果を最大化するのがミッションです。サイトを分析して課題を洗い出し、打つべき施策をプランニングし、リスティング広告を運用したりWebサイト制作をディレクションしたりと、業務内容は多岐に渡ります。

そう聞くと「カッコいい」とか「キラキラしてる」と思われそうですが、実際には地味で泥臭い仕事です。インハウスのマーケターになれば社内に一人しかいないポジションだったりするので、誰にも理解されず孤独になりやすい仕事でもあります。

とは言え、プランニングした施策がうまくいったり、Webサイトから問い合わせが増えたりすれば嬉しく、やりがいのある仕事でもあります。

Webマーケティングの仕事については、こちらの記事で概要をつかんでください→Webマーケティングって何する仕事？【現役Webマーケターが解説】

Webマーケティング職の種類

Webマーケティング職と一口に言っても、働き方や担当職務は様々です。

ここでは簡単に、Web広告代理店・コンサル会社と事業会社のインハウスWebマーケティング担当に分けて解説します。

Web広告代理店・コンサル会社

クライアントから予算を預かり、広告やSNS運用、SEOコンサルティングなどを行います。規模が大きくない会社では、一人で複数社を担当することが多く、一つの案件を深めるというよりも、様々な会社の様々な商品に関わることになります。

広告やSEOなど広く経験を積めるのがメリットです。また、複数社を担当する場合は、商品や業界によるマーケティング施策の効果の違いなどを見ることができるのも面白いところです。

事業会社とは異なり自社のマーケティング活動ではないため、数字に対する責任感はそれほど強くはなりにくい立場と言えます。

事業会社のインハウスWebマーケティング担当

事業会社とは、自社でサービスや製品を提供することをメインの事業としている会社のこと。言ってしまえば世の中の会社はすべて事業会社ということになりますが、一般的に「事業会社で働く」という場合、クライアントから依頼されるのではなく「自社のマーケティングや開発に携わること」という意味になります。例えば、家電メーカーのマーケティング担当のような人は、事業会社のインハウスマーケターと言えます。

一つの商品や事業を深く理解し、じっくりと携わりたいなら、インハウスマーケターを目指すべきです。

事業会社のWebマーケティングは、広告代理店よりも施策で出した数字への責任が重くなるため、プレッシャーの大きい仕事と言えます。また、そもそも自社の商品に愛着がなければ務まらないため、代理店でクライアントワークに慣れていると、戸惑う部分も大きいと思います。

広告代理店と事業会社のどちらがいい？

Webマーケターとして働く上で、クライアントワーク主体の広告代理店と自社運用の事業会社のどちらがいいか、というのは一概には言えません。

正確には、「自身のキャリアプランによる」ということです。

広告やSEOなどのスキルを極めたいスペシャリストタイプなら広告代理店、自社のマーケティング戦略全体を統括するCMOを目指したいということであれば事業会社という選択がよいと思います。

一般的には、若いうちに広告代理店で経験を積み、事業会社に転職するというパターンが王道とされています。私もこのパターンです。

ですが前述した通り、代理店と事業会社では働くマインドがまったく違うので、これまでの職務経歴を踏まえ、どちらが向いているかはよく考えたほうが良いです。

以下の表で向き不向きをまとめてみました。あなたの置かれた状況やフェーズにあてはめて考えてみてください。

キャリアプラン	広告代理店	事業会社
現在の仕事がクライアントワークがメイン	〇	△
特定の業界に興味がある	△	〇
技術を極めたい	〇	△
マネジメントに携わりたい	〇	〇
CMOなどより上位のマネジメントを目指したい	△	〇

未経験からWeb広告代理店で働く方法

未経験からWebマーケターを目指すなら、Web広告代理店に転職するのが、最も難易度が低く挑戦しやすいです。

Web広告運用は、Webマーケティングの代表的な手法の一つなので、実務能力を身につけるにも良い環境です。入る会社によっては長時間労働当たり前の働き方になるため、30代からは体力的に厳しいものがありますが、短期間で実力は付きます。

ただし、こういった企業にありがちな問題がひとつ。それは、同僚や上司との年齢差です。比較的若い企業が多いため、現場が20代メンバーで構成されており、直属の上司が年下いうこともざらにあります。その中に30代で飛び込むのは、メンタル的なタフさが求められます。

もちろん例外はありますので、業界に詳しい転職エージェントに相談するのがおすすめです。無料で相談に乗ってくれますので、情報収集のために登録してみましょう。

広告代理店で数年働けば、Webマーケティングの基礎は身につくはずです。その後は、その会社で偉くなってもいいですし、より広いスキルを身につけるために他の代理店に転職したり、インハウスのWebマーケターとして転職することも可能です。

未経験からインハウスWebマーケターになる方法

未経験からのインハウスマーケターは、広告代理店への転職よりも難易度が上がります。というのも、マーケティングの知識に加え、働く会社の事業内容や商品特性などを社内の誰よりも深く理解しなければ務まらないからです。

具体的な転職方法を解説する前に、未経験の分野に転職するときの効果的な方法を解説します。

未経験には3種類のパターンがあります。

難易度順に並べると次の通りです。「アパレル会社のWebマーケティング担当者を目指す」という想定で書いています。ご自身の状況に置き換えて読んでみてください。

1. 職種の経験はあるが、業界未経験
   例えば広告運用やSEOコンサルの経験はあるが、アパレル業界の経験はない。
   業界特性などを学べば、これまでのスキルと経験を活かして即戦力として活躍可能。
2. 業界経験はあるが、職種が未経験
   アパレル業界に長く勤めていたが、Webマーケティングの実務経験がない。
   1と逆のパターンだが、マーケティング実務は繰り返し手を動かして学ぶ部類のもののため、知識を身につければ即戦力で働けるというわけにはいかない。1よりも難易度は上がる。
3. 業界も職種も未経験
   最も高難易度。
   業界知識もマーケティング実務もイチから学ばなければならない。

完全未経験からインハウスWebマーケターになるなら二段階で

いきなりインハウスのマーケティング担当になるのは難易度が高すぎ、転職できたとしても挫折する確率が高くなってしまいます。そこで、まずはマーケティング実務を身に付けて、最低でも手を動かせる人になっておくことを目指しましょう。

現在→Webマーケティングの専門家→インハウスのマーケティング担当という流れになります。先ほどのパターン分けでいうと、最初は1のパターンを目指すことになります。

転職回数が1回増えるため遠回りに見えますが、始めから目的地にショートカットすると、業界にも実務にもついていけず、結局さらに転職することになってしまう可能性が高いです。そして、失敗から立ち直るのに、かなり辛い思いをすることになります。

私自身がまさにそれで、20代の頃に業界業種ともに完全未経験で飛び込んだ転職に失敗し、精神的に病んでしまいました。結局、1年半リハビリ的に関係のない業界で働き、30代になってから再度Webマーケの業界に挑戦することになります。

このときの教訓として、二段階でのキャリアチェンジという方法にたどり着きました。

まあ、この辺りはご自身の性格や仕事の覚え方にもよるところが大きいので、「自分は完全未経験でも大丈夫！」という人は挑戦してみるのもありでしょう。

Web広告の実務経験が積める環境への転職

まずは、Web広告代理店やコンサル会社など、Web広告運用の実務経験が積める環境への転職を目指しましょう。

SEOではなくWeb広告です。なぜWeb広告かというと、個人で実務経験を積むのが難しいスキルだからです。SEOはブログ運営などで、個人でもある程度は取り組むことができますが、数十万〜数百万の予算を運用するWeb広告は、個人で手を出すのはハードルが高いですよね。Web広告の運用スキルは、Web業界で活躍する場合に高く評価されますので、完全未経験者はまずはWeb広告代理店を目指しましょう。

前述の通り、Web広告代理店は会社によって様々なカラーがあるので、転職エージェントなどを活用し、ご自身に合った会社を選びましょう。

始めから目的地にショートカットできるパターンは、業界経験があること

先ほど、業界業種未経験の場合は遠回りでも二段階でキャリアチェンジした方が良いとお伝えしました。ただ、当然業界経験者であれば、そのままマーケティング系の職種未経験で飛び込んでもついていける可能性が高いです。

もしも、あなたが特定の業界に詳しいのなら、同じ業界のWebマーケティング関連の部署であれば転職しやすいかもしれません。例えばアパレル系企業にお勤めの方なら、同じアパレル系の会社のWebマーケター職の求人ならエントリーしやすく、入社してからの業務にもついていきやすいです。

Webマーケティングの実務では、マーケティング活動で扱う業界と商品の知識がとても重要です。いくらWeb広告やSEOの知識があっても、業界知識がなければ成果を上げることはできません。

その点、もともと業界にいる方なら、業界知識に関しては専門家です。未経験の転職では「業種も職種も未経験」よりは、「業種は経験あり」または「職種は経験あり」のほうが圧倒的に有利です。Webマーケティングのスキルは後付けでも何とかなるものは多いので、独学するなどして知識を身につければ、採用側からも魅力的な人材に見えるなれるでしょう。最速での転職を目指すなら、Webマーケティングが学べる実践型スクールで学ぶのも一つの手です。

ちなみに私は、前述の通り20代の時にもWebマーケターを目指し、「業種も職種も未経験」の状態でWebマーケティング職に転職した経験があります（今とは別の会社です）。しかしメンタルを壊し、3ヵ月で退職せざるを得なくなりました。その経験もあり、Webマーケティング未経験者が異業種のマーケ職に転職するのはあまりおすすめしていません。この体験談は、こんな転職はやめとけ｜私が3ヵ月で辞めた理由【Webマーケティング転職失敗談】で語っています。

ただし例外として、もともとその業界が好きなら、完全未経験での転職もありだと思います。

30代未経験でWebマーケターになれる人の特徴

マーケターとして働くのに必要な能力はたくさんありますが、特に30代から挑戦する場合には、向き不向きの要素がより重要になってきます。

プライドが高くない

前述の通り、Web業界は比較的若いです。30代未経験で参入すると、自分よりも若い上司がいるということも普通にあります。プライドが高い人にとっては、結構辛い状況かもしれません。

自分よりも若い人間に指示されたりすることについて割り切れる人なら、ストレスを溜め込まずに働けるでしょう。

とはいえWeb業界は変化が目まぐるしく、去年の常識が今年は通用しなかったりするのが普通です。下剋上も普通にありうる環境なので、今の上司が翌年には部下になっていることもあると思います。これまでの人生経験を活かして乗り切っていきましょう。

ちなみに私の場合、直属の上長が同年代だったため、幸いにもそれほどやりづらさは感じませんでした。自分よりも若い先輩もいたのですが、年齢が高い私に一目置いて尊重してくれていました。運が良かったといえばそれまでですが、年齢を気にせずフラットに接するように心がけたのも良かったのかもしれません。

勉強するのが苦ではない

Webマーケティングに限ったことではないですが、未経験入社のハンデを埋めるために、日々自己学習する必要があります。業務時間内では足りないので、当然業務後や休日も学習時間に当てることになります。勉強が苦にならない人でないと、着いていくのは難しいと思います。

また、30代であれば家庭を持っている方も多いことと思います。家族を気にかけつつ、いかに勉強時間を捻出するかが重要です。

私の場合も未経験入社した時には結婚していたため、家での勉強というのは難しいところがありました。業務開始の30分前には職場に着くようにして休憩スペースで勉強したり、業務後に職場の近くのカフェで30分程度勉強してから帰るなど工夫していました。

コロナ禍で在宅勤務になってからは、通勤に使っていた時間を勉強時間に当てられるようになったので、より習慣化しやすくなりました。

勉強の習慣化は最初は難しいですが、あまり自分を追い込みすぎないことが続けるコツです。1日30分や1時間が無理でも、5分だけ参考書を開いてみたりと、やる気が出ないときは思いっきりハードルを下げてしまっても構いません。

特定の分野に特化している

未経験分野への転職において、得意分野のある人はとても強いです。これは職種でも業界でも構いません。

例えば事務職なら、Excelスキルや数字を扱うことに長けているので、そのままマーケティングの実務に活かせます。営業職なら、クライアントのニーズを予測して商材やアプローチ方法を決め、トライアンドエラーする業務プロセスが役立ちます。

職種という切り口で自信がないなら、業界で攻めましょう。アパレル、飲食、医療など、ほとんどの業界において、その業界に強い広告代理店や部署などがあります。業界に強いことがアピールできれば、マーケティングの実務経験がなくても重宝されます。自信を持って職務経歴書でのアピールポイントに加えましょう。エージェント経由の場合は、業界に特化したマーケティングの仕事を探してもらいましょう。

「業界のこともよく知らないし、スキルも何も持ってないよ」という方もいるかもしれません。ですが、30年間生きていれば、自分自身で気づかなくても何か一つは人よりも得意だったり詳しかったりするものがあるはずです。これまでの人生を振り返り、丁寧に自己分析してみましょう。

何も取り柄がなくても挑戦したい

Webマーケティングの仕事は専門職です。最初にも書きましたが、簡単に目指せるものではありません。未経験というハンデがある分、人よりも多くの努力が必要です。業務後や休日にも自主的に学ばなければなりません。

ただし言い換えれば、人よりも努力する覚悟があるのなら、未経験でもプロフェッショナルとして活躍できます。

まとめ

• 30代未経験でもWebマーケティング業界を目指すのは可能
• 業界も職種も未経験の場合は、二段階でキャリアチェンジする
• 業界知識よりも先にWebマーケティング実務を極める
• Web広告代理店に転職し、Web広告運用の実務経験を積む
• 業界経験があるなら、Webマーケティング担当として完全未経験でも挑戦可能
• 30代未経験でもWebマーケターを目指すには向き不向きがある

厳しいこともたくさん書いてしまいましたが、伝えたいのは、30代未経験からでもやりようによっていくらでも挑戦可能ということです。

これまでの経験や実績を活かしつつ、自信を持ってチャレンジしてみてください。